年齢を重ねると精神機能や知的能力が変化していきます。その結果、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。感情や人格が変化することもあり、介護士としては高齢者の心理的特徴を事前に知った上で適切に対応していく必要があります。
なぜ精神機能が低下するのか
加齢によって精神機能が低下していきます。これは、加齢による心身や環境の変化、これまでの経験など様々な要因が関係しています。特に高齢期には多くの喪失体験を経験することになります。加齢によって脳や身体機能、視覚、聴覚などが低下します。病気や障害によって健康が損なわれるケースもあるでしょう。配偶者や友人などと死別するケースも少なくありません。定年退職や子どもが独立したことによる社会的役割の喪失も挙げられます。こういった喪失体験は誰にでも起こることです。人生における通過点の1つとして受け止めて向き合いながら、健康を保っていく姿勢が求められます。しかし、ネガティブな感情が拭いきれずに意欲の低下や孤独感、疎外感などが増すと、著しく精神機能が低下してしまいます。
こういった心理的な虚弱による精神機能の低下は「精神・心理的フレイル」と呼ばれます。一般的にフレイルといえば、身体機能の低下による身体的フレイルをイメージする人が多いでしょう。しかし、精神・心理的フレイルも高齢者が陥りやすい虚弱症状の1つとして挙げられます。また、社会性の虚弱が精神機能に影響を与えることもあり、それぞれの側面が影響し合っています。
原因は1つだけではない
意欲の低下などが続くと、外出や人と会うことが面倒になり、社会参加の機会が減ってしまいます。社会参加や人とのつながりが失われることで、フレイルはさらに加速していきます。年齢を重ねて社会参加の機会が減ると、自ずと生活範囲は狭くなります。活動量が減ることで身体機能も低下していくでしょう。自宅に閉じこもりがちになることで気分も落ち込みます。また、1人の時間が多くなると食欲が低下し、口腔への関心が薄れます。それによって口腔の状態が悪化し、食事の内容が限定され、低栄養になるリスクも高まります。低栄養はサルコペニアの原因であり、身体的フレイルを招きます。
このように、様々な要因が重なってフレイルが進行していきます。この状態を予防するためには、運動・栄養(口腔機能)・社会参加(心の健康)の3つの要素をバランスよく維持しなければなりません。こうしたフレイルと心の健康の関連性は極めて強いので、早期に予防する必要があります。介護士として高齢者をサポートする際は、1つの事象だけに目を向けるのではなく、あらゆる角度からアプローチしていかなければなりません。むしろ、精神機能が低下する原因は1つだけではないケースの方が多いでしょう。
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