うつ病を誘発することもある

2025.11.24

うつ病が増えている

高齢者は精神機能が低下しやすく、それには様々な要因が影響し合っています。また、精神機能が低下することによって、うつ病を誘発する可能性があります。高齢者のうつ病はおよそ15％もあるといわれており、高齢化が進むことで割合は上昇していくと予想されています。

高齢者のうつ病の特徴

うつ病は精神的なエネルギーが著しく欠乏した状態で、食欲や睡眠欲などの様々な意欲が低下します。身体的な苦痛を伴うこともあり、早期の対策が求められます。高齢者がうつ病になる原因として多いのが、ライフイベントや慢性的なストレスです。配偶者や友人との死別、定年退職による社会的役割の喪失、家庭でのトラブルなどが主なライフイベントです。慢性的なストレスは、身体機能の低下やそれに伴う気力の低下、経済的な問題などが挙げられるでしょう。また、普段服用している薬がうつ病を誘発する可能性もあります。
高齢者のうつ病は一般的なものとは違い、症状のあらわれ方に特徴があります。一般的なうつ病の症状を示すのは全体の3分の1から4分の1程度です。症状の一部が強くあらわれるなど、通常の診断基準では見落とされることもあるので注意深く観察しなければなりません。また、胃の不快感や頭痛などの身体的な症状が目立つ点も高齢者のうつ病の特徴として挙げられます。健康なはずなのに体調が優れず、痛みや不快感を訴えるケースも少なくありません。周囲からは老化現象のように思えることが、実はうつ病による症状だったというケースもあります。こういった身体症状を訴えるケースを「仮面うつ病」と呼びます。それほど大きな身体疾患ではなくとも、不安感が強く悲観的な考えにとらわれ、それがうつ病を悪化させる要因になります。

仮性認知症

もう1つ、高齢者のうつ病には「仮性認知症」と呼ばれるものがあります。これは、うつ病によって日常生活を維持することが難しくなりながら、その原因が認知症だと誤解されるケースです。日付や曜日が分からない、朝食の内容が思い出せないなど、一見では加齢による記憶力の低下と考えられる症状でも、記憶検査をすると正常であるケースも少なくありません。この場合、うつ病によって周囲のことに興味や関心がなくなったことにより、日常生活を維持できなくなってしまった可能性があります。

まとめ

以上が、精神機能の低下が原因による高齢者のうつ病の特徴です。うつ病は日常生活に多大な影響を及ぼします。介護士としてサポートする際は、加齢による身体機能の変化ではなく、心の健康が乱れている可能性を考慮して対応しましょう。