年齢を重ねると精神機能や知的能力が変化していきます。その結果、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。感情や人格が変化することもあり、介護士としては高齢者の心理的特徴を事前に知った上で適切に対応していく必要があります。
老年心理学
高齢者のメンタルケアを考える上で知っておきたいのが老年心理学です。老年心理学とは、高齢者が抱える心理的特徴や加齢による精神機能の変化、認知症への対処法などを研究する学問です。これまで、人間の年齢の変化による心理学の主流は、児童心理学や青年心理学といったものでした。主に、人間が生まれて成長し、大人になるまでの過程に焦点を当てたものです。しかし、日本では高齢化が進み、2020年9月の時点で65歳以上の高齢者は3,617万人まで増加しました。総人口に占める割合は28.7%です。今後も高齢化は進み、2060年には国民の約2.6人に1人は65歳以上の高齢者になるといわれています。こうした背景もあり、高齢者の心理を対象とする学問が活発化しています。
幸福度について
高齢者の心理的特徴を捉える上で重要なのが、幸福度と呼ばれる指標です。高齢になると身体が思うように動かせなくなり、社会とのつながりも薄れ、ネガティブな状況に陥るリスクが高まります。そのため、多くの人は高齢者になると幸福度が低下すると思っています。しかし、年齢を重ねてネガティブな状況に直面している一方で、幸福度は維持できているというパラドックスが生じているケースも少なくありません。これは、加齢によって失ったものに対し、高齢者自身が心理的な対処法を用いるパターンにおいて起こります。
例えば、散歩が趣味の高齢者の場合、加齢によって身体能力が低下し、お気に入りの場所まで行くことが難しくなります。これだけでは幸福度は低下しますが、そういった状況に対して「目標を別の場所に変える」「補助器具を使用する」「家族に介助をしてもらいながら散歩をする」といった対処法を用いることで、損失を最大限まで抑えられます。また、諦めの感情を持つことで、できなくなったことに対して「仕方がない」と割り切れる人もいるでしょう。こうした対処法によって、幸福度を維持することができます。
重要な学問
老年心理学は、肉体の衰えに伴う心理的な問題だけでなく、認知症などの疾病に伴う心理や社会的なつながり、介護者とのコミュニケーション、発達心理学、診療心理学など他の分野との連携により、アプローチの幅が広がります。介護士にとっても、高齢者のメンタルケアを行う上で役立つ学問であることは間違いないでしょう。今後も高齢化は進んでいきます。高齢者が自分らしく生きていける社会を実現するためには、老年心理学からのアプローチが非常に重要です。
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